日本でのれんといえば、飲食店や商店などで店先にかけられていることが多いと思います。
和の風情が漂いますが、近年では洋風のモダンなデザインを取り入れているものもあります。
温泉旅館や日帰り入浴施設などでも、女湯と男湯を分けるためにのれんがかけられています。
派手な色で染め上げれば人目につきやすいので宣伝にもなりますし、
グレーのような落ち着いた色ののれんであれば間仕切りとしても使えます。
漢字では暖簾と書きますが、語源は禅宗の用語にあります。
寒さを防ぐための垂れ布のことをいいました。簾の隙間を覆って暖かくすることから、
暖簾と呼ばれるようになります。
「暖」という字は元々、「のん」と呼びます。元々は「のんれん」と呼ばれていましたが、
少しずつ変化し「のうれん」となり「のれん」となっていったのです。
風が入らないように寒さを防ぐためのものなので、昔は冬用の物が暖簾とされていました。
夏になると、冬用とは違う涼やかな印象のある葦や竹で編んだ物を店先にかけておきます。
これは当時、「涼簾」と呼ばれていました。
しかし、時代と共に使われなくなっていきます。
その結果、冬用も夏用も関係なく暖簾とされるようになりました。
のれんは商家で使われるようになり、一般にも広く普及しました。
色によってイメージもがらりと変わるので、ブランドイメージを構築するのにも役立ちます。
例えば白い色は清潔なイメージがあるので、飲食店などにぴったりです。
目立たせたい部分の色を変えたり、シンプルなロゴを載せたりすることで
道行く人に覚えてもらいやすくなります。
のれんは次第に、営業していることを示す物として認識されるようになりました。
開店する時にかけておき、閉店する際には片付けて店の中にしまいます。
営業しているかどうかが客にも一目で分かります。それからお店の信用を表す言葉としても使われています。
単なるお店の目印というだけではなく、格式や信用を象徴しているのです。
また、のれん分けといった言葉も生まれました。
これは、奉公人などが独立して同じ屋号のお店を出すことをいいます。
スキャンダルに見舞われブランドイメージが失墜した場合には、のれんに傷がつくと言われます。
今まで築き上げてきたブランドイメージが損なわれてしまったことを指しています。
現在でも、商売をしている人や会社がスキャンダルを起こした場合などに、使われることもあります。