のれんに使われる様々な生地の種類

エステル天竺

エステル天竺は合成繊維で作られた織物の一種で、
その軽さや丈夫さを生かして様々な用途に使われています。


エステル天竺もちろんのれんにも、この生地は適しています。
エステル天竺が用いられたのれんは、帆布やポプリンといった
ほかの織物素材と比較して最も薄手の部類になり、
そのため適度な透け感があるのが特徴です。


綿に似せて作られた繊維なので手触りがよく、さらに繊細なデザインが可能なので、
デザインにもこだわったのれんを希望する方におすすめの素材です。


綿風でありながらも密度が低い生地なので、のれんの向こう側が少しだけ透けて見えます。


光を通しやすいので室内で使用しても圧迫感がなく、柔らかくて優しい印象を与えることができます。
ただし、熱に弱いというデメリットもあり、アイロンをかける際にはあて布などの対策が必要になります。


ポリエステルを主原料としたこのエステル天竺製の生地は綿のような風合いを
しっかりと残しつつ、型崩れを起こしにくく速乾性にも優れています。適している


そのうえ、綿で作られたのれんよりも価格を抑えることができます。
さらに、きめの細かい生地なので様々なデザインに対応できます。


職人が一枚一枚手作業で引き初めで染めることによって
一点もの独自の風合いを得ることもできますし、大量生産の場合は
昇華転写という技法が用いられます。


これは熱とインクを利用したアイロンプリントのような技法で、鮮やかで繊細な仕上がりが特徴です。


生地にしっかりとインクを定着させるのでインクが乗ったような違和感がなく、
通気性が損なわれることもありません。


洗濯にも強く、そのうえ価格も安く仕上げることができます。
エステル天竺は軽やかな透け感が特徴のリーズナブルな素材です。


綿のような優しい風合いで高級感もあり、おまけにデザイン性にも優れています。
この生地なら過度な圧迫感もなく使用する場面を選ばないので、
室外用にも室内用にも使えるオールラウンドなのれんに仕上がります。

 

【合成繊維】産業革命と合成繊維の深い関係とは?

その丈夫さや汎用性から現代では「合成繊維」があらゆる場所で使われるようになりましたが、もともと人類は長い期間、
「天然繊維」を利用してきました。いくつかの天然繊維の中でも、特に「絹」は貴重品でした。
そんな中、英国の産業革命により化学工業が発達し、絹に似せた人工の繊維を作る試みがスタートします。

 

1884年にフランスで絹の風合い・手触りに近い人工繊維が発明され、1889年のパリ万国博覧会で世界的に注目されました。
これが最初の合成繊維「レーヨン」で、その後に商業生産がはじまります。

 

その後、1930年代~1940年代にかけ、新たな合成繊維が次々開発されていきます。
1931年にドイツで「ポリ塩化ビニル」、1935年にアメリカで「ナイロン」が発明されました。
続いて「アクリル」や「ポリエステル」などの開発も進んでいきます。日本では1939年に京都大学で「ビニロン」が発明されました。

 

日本国内に合成繊維が輸入されるようになるのは、第二次世界大戦後のことです。
それまで綿や絹の肌着が主流だった日本において、アメリカのナイロン製ストッキングは、その耐久性や価格の安さから
多くの人が使用し身近な存在となりました。


ナイロンに続き、1956年には「アクリル」繊維の肌着が発売され、合成繊維は日本人の暮らしに普及していきます。
合成繊維の発展は衣類をはじめ、我々の生活に多くの利便性をもたらしています。